3月31日から4月8日まで、大阪中之島メリヤス会館ラッズギャラリーで「中川寿郎・庄司克子二人展」が開催されました。
4月3日夜に川崎から帰阪し、4日朝、実家のある千林から京阪電車で会場に向かいました。京橋駅で馴染みの緑色の電車から初めて見る青い車両の中之島線に乗り換えました。この日はあいにくの雨で、車窓から見える大川沿いの桜は灰色の空をバックに白く霞んでいましたが、それもまた美しく懐かしさがこみ上げてきました。橋の名前のついた駅をいくつか通り過ぎ、「そうや大阪は水の都やったなあ」と妙に納得しているうちに中之島駅に到着しました。
先ずは駅に隣接するリーガロイヤルホテルで同級生数名とランチ。ロビー横のカフェでお昼をいただきながら、お喋り、お喋り、お喋り…。途中、バーカウンター席の上方に据えられたテレビに「北朝鮮、ミサイル発射」のテロップが流れていました。 (後で分かったことですがこれは誤報でした)
そしてまだ降り続く雨の中を会場へ向かいました。歩きながらまたお喋り、お喋り、お喋り…。会場ではお元気そうな中川先生と庄司先輩がにこやかに出迎えてくださいました。
今回、中川先生が拓本をとられた紅山玉画については、1月の「3−7恒例新年会」でも先生のミニ講演があり、一体どのような作品に仕上げられるのかとても楽しみにしていました。
額装、軸装いずれの拓本も線質が鮮明で力強く、人物や魚、獣、太陽、川などが自然と共に暮らす人々の営みの構図としてユーモラスに描かれていました。拓本の脇には中川先生の筆による現代詩文や経文の一部が添えられ、拓本と書が時空を越え絶妙なバランスで配置されていました。中川先生は毎朝、お写経を日課とされています。私も般若心経を写経したことがありますが苦痛でとても日課にはなりません。先生にその秘訣を伺いましたところ、「上手に書こうと思たらあかん。ただ無心に書いてたらだんだん気持ちよく書けるようになるでー」と。なるほど、これこそが般若心経の世界です。玉画拓本のほかにも骨董収集品や中国の墳墓から発掘されたガラス玉など数多くのお宝が展示されていました。
大学の先輩でもある庄司克子さん(同級生の落合君のお姉さん)とは先輩が大学を卒業されて以来34年ぶりの再会で、そこがギャラリーであることをすっかり忘れてお話に夢中になってしまいました。穏やかで包容力のあるお人柄はちっともお変わりなく、それでいて書作への情熱はますます強くなられていました。
今回はお祖母様とお母様がお持ちだった着物の白生地をご自身が桜で染色して書作されました。つぼみを蓄えた桜でしかあの淡い淡墨がかった色合いは出ないそうです。春・桜をテーマにほんのりと桜色に染められた絹地の上に書かれた作品は、白と黒で表現する書作品とは全く趣が異なり、自宅の居間にそっと飾りたいと願うような温かく優しい作品でした。そんな優しい作品の中で「臥龍桜」と題された作品には、冬の厳しい寒さに耐えじっと開花を待ち続ける桜の木の強い生命力を感じました。
三々五々、同級生が会場に集い、作品を鑑賞したり先生や先輩とお喋りしたりしながら、春の午後のひと時がゆったりとそして賑やかに過ぎてゆきました。
二人展を通してお二人の書作活動や発掘品収集への熱い思いが強く感じられました。中川先生,庄司先輩,素敵な作品や貴重な収集品の数々を見せていただき有難うございました。そしてほんのわずかな時間ではありましたが、和やかな時間を共有してくださった同窓の友に感謝いたします。有難うございました。
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