大阪府立大手前高校昭和50年卒同窓会     学年新聞vol_15  
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vol_16_03    柴犬日記(後編)   by 寝惚堂主人 

【某年某月某日 その5】

名を呼んで「来い」と言えば来る。
このような姿を見ると人は「ハイなんでしょう、父上」とか
「なぁに、おかあさん」などとアテレコしてしまうものらしい。
無理からぬことではある。
どうだろう、この真っ直ぐな視線、邪気のない表情。
しかしこの犬の視線の先にあるのは「ごほうび」、
つまり食い物であって飼い主たる小生の顔ではないのだ。
「早く寄こせよオヤジ」とか「なんだよババァ」とか
アテレコした方が正しいのではないかと思いつつ
「いい子だねぇ」とホメて、しつけと称する虚しさよ。

「ごぼうび?」クリックすると元の大きさで表示


【某年某月某日 その6】
「様子見」クリックすると元の大きさで表示
様子を見ている。
犬というもの、テリトリーは守ろうとするのではないだろうか。 ペットとは言え、まがりなりにも<イヌ科>なのだし。
この犬は自分のナワバリに踏み込んで来るものを攻撃したりはしない。 安全だと自分で信じている場所から様子を伺っているばかりである。
危険察知能力は高い。ビビリとも表現できるが。
夜道の散歩にはその能力を遺憾なく発揮する。
不審な音やモノ、ヒトに敏感に反応するのだ。
しかしあくまでその判断基準は彼自身のものであるので飼い主の役には立たない。
その上実際危険が迫れば飼い主そっちのけで逃走するのでいっそう役に立たない。



【某年某月某日 その7】

音もなく後ろに座っていたりする。
一応、家の内での飼い主の所在は気になるらしい。
小生が部屋に閉じこもり作業などしているといつのまにか背後にたたずんでいる。
少しだけ開いているドアから、全く音も気配もなく忍び入って来る。
いささか不気味である。
ネコではあるまいし、あの引っ込まない爪の四つ足で どうやって音を立てずに歩いているんだか。
振り向くとおらぬので、撮影は不可能である。

【某年某月某日 その8】

2往復半。
こ奴が尻尾を振る回数である。まちがいはない、ちゃんと数えたのだ。
思えば吠えず騒がず尻尾を振らぬ犬であった。
最近になってようやく飼い主に尾を振ることを覚えたらしい。
何ゆえかは未だわからず。
ちなみにあまりにもレアな光景で、これまた撮影は不可能であった。


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