大阪府立大手前高校昭和50年卒同窓会     学年新聞vol_08  
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vol_08_02    ご存知ですか、ナショナル・トラスト  徳野千鶴子 

〜NPO法人ザ・ナショナル・トラストサポートセンターのご紹介〜

★駒井家住宅見学会

 残暑の残る2004年9月18日土曜日午後2時半、京都北白川伊織町にある京都市指定有形文化財、駒井家住宅に約30名の人たちが見学に訪れました。白い壁に赤みを帯びた瓦屋根,というスパニッシュ様式のこの住宅は、昭和2年、京都帝国大学理学部の駒井卓教授の住宅として、ヴォーリズの設計により建築されたもの。時を経て、2002年、財団法人ナショナルトラストに寄贈され、修復を受けた後、今年の5月から、毎週、金・土の2日間、公開されています。

駒井家

 今回の見学会は、NPO法人ザ・ナショナル・トラストサポートセンターが運営する英国ナショナル・トラスト友の会の9月定例会として開催されました。会場では、住宅を財団に寄付された最後の所有者の相続人である駒井俊雄さんにお願いして、駒井家住宅の歴史、寄贈にいたった経緯など、興味深いお話を伺いました。住宅の敷地は100坪ほど、住宅そのものは2階建てで百数十uほどでしょうか。外観はスパニッシュ様式、内部は洋風でありながら、和室も配されています。駒井さんのお話の後、ボランティアの方から住宅の内部や維持管理について丁寧な説明を受け、見学をしましたが、こうした歴史的環境を守っていくことの大切さを感じていただける機会になったのでは、と思っています。


★ナショナル・トラストとの関わり

 私が理事に名を連ねているこのNPOの設立は2002年の12月です。私がナショナル・トラストとかかわることになったのはその数年前、1999年12月のこと。ささやかに(夫の扶養の範囲内で)翻訳を仕事としてきましたが、徐々に環境問題に関する仕事が中心になりつつあった頃です。たまたま川崎市自然環境保全審議会でご一緒した社団法人日本ナショナル・トラスト協会の当時の事務局長、惠小百合江戸川大学教授から、協会のガイドブックの英訳を依頼され、仕事仲間の田川由紀子さんたちと一緒に英訳に携わったのが始まりです。1989年から90年にイギリスに滞在していたとき、ナショナル・トラストのプロパティ(所有地)を訪れたことはありましたが、日本にもナショナル・トラストがあることをそれまで知りませんでした。

花かご  ご存知の方も多いと思いますが,英国のナショナル・トラストは、1895年に設立された組織で、イングランド、ウェールズ、北アイルランドに27万ヘクタールを超える美しい田園地帯と960キロメートルもの優れて美しい自然海岸線、200カ所を超える庭園や歴史的建造物といったプロパティを保有・公開しており、その会員数は310万人を超えています。海外の会員もいますが、ほとんどは英国民ですから、英国の人口が約6000万人であることを考えると、たいへんな数字です。英国ナショナル・トラストのグッズなどは、阪急百貨店のNTショップでも売られています。

 日本では、1964年、鎌倉の自然を守ろうとした大佛次郎氏によって、市民の手で自然や歴史的環境を守り、公開し、後世に残すというナショナル・トラストの理念が紹介されました。それ以前からも、その土地の自然環境や歴史的環境を守っていこうという市民による運動が各地で行なわれていましたが、こうした活動を全国的に連絡・協力する組織として、1983年に社団法人日本ナショナル・トラスト協会が環境庁の認可を受け、設立されました。また、英国のナショナル・トラストを範とし、1968年に運輸省の認可を受けて設立された観光資源保護財団は、1992年財団法人日本ナショナルトラストという現在の名称となりました。

緑  ナショナル・トラストと関わる前にも後にもいくつかの環境関連の団体との関わりはありましたが、このようにNPO法人の活動にコミットするようになったのは、協会の事務局の方たちとのつながり、そして、協会のオフィシャル・アーティストとして2000年に英国ナショナル・トラストのプロパティをスケッチ旅行された画家の小野琢正氏とその夫人のまりさんとの関わりが大きいのです。(小野画伯の絵は,ナショナルトラストサポートセンターのHPにも載っています)  2001年、japan2001という日本文化を紹介するイベントの一つとして、小野夫妻が前年のスケッチを中心とした作品をとした英国のナショナル・トラストを描いた作品や、日本のナショナル・トラストの紹介を行う「遍路展」という展覧会を英国のナショナル・トラストのプロパティを巡回して開くことになり、ガイドブックの英訳を一緒にした田川さんとそのお手伝いをしました。そうしたなかで、ナショナル・トラストをもっと知ってもらうことで、自然や歴史的環境の保護に関心を持ってもらうことができたら、という思いが強くなってきました。


★NPO法人ナショナル・トラストサポートセンターと
 英国ナショナル・トラスト友の会


 そこで、田川由紀子さん、遍路展のボランティアを通じて知り合った渡邊奈都子さんとともに、小野まりさんを代表として、2002年12月にNPO法人ザ・ナショナル・トラストサポートセンターを設立しました。このサポートセンターでは、英国ナショナル・トラスト友の会という会員組織を運営して、紅茶セミナー、英会話とマナー、英国のお菓子、アロマセラピー、見学会などのイベントを中心とした定例会を開き、その中で英国や日本のナショナル・トラストのご紹介をしています。環境保護というと身構えがちですが、さまざまなイベントを楽しむことで、自然体で環境に関心をもっていただくきっかけ作りができれば、と思っています。  また、英国ナショナル・トラストのプロパティを訪問するツアーも行っており、昨年は、ハンプトンコートフラワーショーとシシング・ハーストなどを訪ね、今年は、6月にローズガーデン巡りとして、薔薇を満喫するツアーを行いました。

スタンデン

 友の会の定例会はこれまで首都圏を中心としたものでしたが、会員は関西の方もおられますので、関西での定例会を考えていました。そこに、必然としか思えない偶然があり、私が今住んでいる川崎市宮前区の町内に駒井家ゆかりの方が住んでいらっしゃることがわかって,そのご紹介で、駒井家住宅の見学と講演会が実現した、というわけなのです。駒井家住宅そのものは、毎週金曜日・土曜日に一般に公開され、ボランティアの方が解説してくださっていますので、ぜひ、お訪ねください。サポートセンターでは、今後も充実した内容の友の会の定例会を開きたいと思っていますので、HPをチェックして、ぜひご参加ください。

 さて、定例会、ツアー、ともに50年卒の大手前のみなさんや52年卒の後輩に参加していただいています。後輩の河股順子さんには関西分室長にもなっていただいています。みなさん、ほんとにありがとう!! HPをお借りして心から、お礼を申し上げます。



日本ナショナル・トラスト協会
http://www.ntrust.or.jp/
財団法人日本ナショナルトラスト
http://www.national-trust.or.jp/
NTEジャパンクラブ
http://www.withnet.ne.jp/ntejc/
NPO法人ザ・ナショナル・トラストサポートセンター
http://www007.upp.so-net.ne.jp/ntscj/



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